肩こりはマッサージで治らないのか??
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◎肩こりは硬くない!?
肩こりは硬いから痛いと思い込んでいる方も多いと思いますが、実はそうとは限りません!現在まで科学的に「こり」「硬い」と表現される肩こりを数値化できたことはないのです。
肩こりなどの筋肉の硬さを数値とするため筋硬度計といわれる機器は存在しますが、筋硬度計を使った研究でほとんど有意義なものはありません。自覚症状と筋肉の硬さは関係がない報告もあります。
実は肩こりに関して1950年代ごろから著名な医師が多く論文が発表されています。
しかし現在まで実際に科学的に肩こりのメカニズムを示した論文はありません。
よく言われている「重い頭や腕を支えるために負担がかかり、筋肉が硬くなり循環障害が起こり疲労物質の蓄積により悪循環となる」といったことです。しかし研究ではこの状態に関してむしろ否定的な結果もあります。
このように肩こりに関しては結局なぜなるのかはっきりわかっていないので、効果的な治療法が見つからない結果、簡単に治らない疾患となっているわけです。
例えば膀胱炎はよく知られた病気です。病態は膀胱内に大腸菌という細菌が増えてしまったことによる炎症ということが分かっています。そのため抗生物質飲めば効果的な治療であることが分かります。結果ほとんどの方が2~3日で症状が落ち着きそのほとんどが完全に治癒します。このようになぜ膀胱炎になるかが分かっているので、原因である細菌を死滅させる抗生物質を飲めばよいことがわかり、またそのため予防もできます。例えばトイレを我慢しない。水分を多めにとる。陰部を清潔にするなど適切な対処法と予防ができます。
病態から治療法を見出すことは、医学の基本であると思いますが、肩こりはわからないことが多いので、簡単に治す方法が見つかっていません。そのため、悩む方が多くネット広告などの偏った情報に惑わされ間違った改善方法を続けていることも多くあります。
例えば
・なで肩の人は肩こりになりやすい。
→研究結果があり、肩こりとなで肩とは関係がないことが示されています。
・筋肉不足の方が肩こりになりやすい。
→体格差、筋肉量でなりやすいことがわかる統計はありません。また女性に多いですが、その原因はわかっていません。
思い込みがあれば、なで肩矯正整体に通ったり、筋肉を付けようとパーソナルトレーナーに通ったりすることもあるでしょう。しかし少なくとも肩こりに対して必ず効果があるとは言えません。そもそもなで肩が矯正で治ることも大変疑問です。
◎まず危ない肩こりでないこと確認しましょう
肩こりの原因がわからないものを本態性肩こり(原因不明の肩こり)とすれば、原因がわかる肩こりもあります。肩こりを感じれば筋肉の問題と決めつけることは少し危険です。
例えば
・高血圧・心肺疾患(パンコースト腫瘍)・耳鼻科疾患・眼疾患
などの疾患から肩こりを感じることがわかっています。特に心筋梗塞や悪性腫瘍などの既往症のある方はただの肩こりではない可能性が高まりますので自己判断しないで主治医に相談するべきです。その他にも頚椎症(関節の変形や、神経の絞扼)で起きる肩こりはマッサージや鍼灸で高い金額で行うよりも先に神経障害性疼痛に適した医療を受ける方が効果的だと思われることも多くあります。
◎根本的な肩こり解消方法はあるのか?
原因がある危険な肩こりではないと判断できた場合は、根本的な治療や確立した治療方法はありません。しかし、肩こりが起こる状況や悪化しやすくなる状況はわかっています。パソコン、スマホ、ゲームによる不良姿勢。寒さによる冷え。睡眠不足。精神的なストレス、高い枕で寝る、歯ぎしりなどで増悪傾向があると思われます。例えばこれらすべてを行わないように生活した場合に肩こりになる確率は相当少なくなると思います。
しかしPC作業のない仕事に転職は難しく、都会で生活を送っていれば精神的ストレスを感じないで生活することは難しいでしょう。悪いとわかっている環境でも変えることが出来ないため慢性的な肩こりが治らない理由と言えます。しかし、仕事を変えることは出来なくとも、引き金となる行動を極力行わないことも重要です。長時間のPC作業をしているならスマホの操作を減らし、睡眠を十分取り高い枕で寝るようなことがないように注意する、ストレスを溜めない生活を心がけることが重要です。肩甲骨を回すなどのストレッチや軽い運動も効果があるでしょう。
私たちの行う鍼灸マッサージも例外ではなく本態性肩こりの根本治療は難しいと思います。しかし一時的な軽減を目的としてでも、マッサージや鍼灸を行うことに意味はあります。根本的な改善が難しいからといって我慢し続けることは辛いです。鍼灸マッサージは一時的な改善をする効果はかなり高いと感じます。ただし患者さんにとって費用に対してのメリットが合うようにしなければなりません。また、危ない肩こりを鑑別して生活習慣などの改善アドバイスにより根本的な改善を目指せるように努力したいと思います。